2017年にリリースされたchart projectは、2018年10月2日より国内外初の個展「chart project EXHIBITION」を大阪・江之子島文化芸術創造センターenocoにて開催。
約160平米の広い会場にて、森の中に展示するために制作した作品や、作家とともに現地を訪れて制作した作品、駅前巨大広告のために制作され、その後その広告生地を元に作成したバッグなど、全作品が一堂に会した。
chart projectはあらゆる社会課題を伝えることを目的としているが、表現の方法としては“伝え過ぎない”ことを大切にしいる。情報を発信しすぎることで作品に対する先入観を与えてしまうことを避けたいという意図と、社会課題について興味のない人に対しての一方通行のコミュニケーションは、メッセージが十分に伝えることができないと考えているからだ。
そのため、chart projectの作品が社会課題のグラフの線を元につくられたものだという事をはじめには説明しない。まずはシンプルに作品自体を楽しんでもらい、十分に堪能しもらった後に、実は作品の中にグラフが隠れていること、そのグラフは社会課題に関するグラフだということを説明するようにしている。作品をみていた人はグラフが隠れていることに驚き、作品を細かく見返してはグラフを見つけ出す。再び、じっくりと作品をみていく中で、そのグラフが何のグラフなのか、またその線(数値)は何を示すのかを自ら知りたくなる。
今回の展覧会でも冒頭の展示箇所には、社会課題についてのグラフが隠れている作品だという説明は一切ない。全ての作品をみた最後にたどり着く区切られたシアタースペースで、はじめて作品には社会課題のグラフが隠れているということを知る。それを知った人は、それぞれの作品にどんなグラフが隠れているのか、もう一度みて周るという、2巡回してもらう展覧設計になっている。
最後にたどり着くシアタースペース
chart projectの作品は全て、社会課題についてのグラフを元に制作していることを、展示の一番最後に伝える。そのことを知り2巡目に回覧する人に、作品ごとに隠れているグラフについての解説資料をお渡し周って頂いた。グラフを見つけては、本当にグラフが隠れている!という反応と共に、何のグラフなのだろうと資料を見入る方が多く見られた。
2017年に掲示した渋谷駅のハチ公前広場にある横幅約13mある大型広告をchart projectでデザインした。その広告の生地で制作したリサイクルバッグを展示。
来館した方がchart作品を描くコーナーも設置。グラフの線だけがある紙に自由に絵を描いてもらう。
会期中に開催したトークセッション。ランドスケープアーキテクトであり空間デザインを手がけるE-DESIGN代表の忽那(くつな)裕樹氏とIDEAS FOR GOOD編集長の加藤佑氏をお迎えし、chart projectの発案者こくぼひろしと共に、アートと社会課題をテーマにディスカッションを繰り広げた。
ABOUT
chart project EXHIBITION
日時 | 2018年10月2日(火)~10月7日(日)10:00-20:00 (最終日は15:00まで) |
会場 |
大阪府立江之子島文化芸術創造センター |
chartist:
aurinco / かわさきしゅんいち / 川添むつみ / 熊木まりこ /
藏本 優 / 引野 裕詞 / 藤井 賢二
Sponsorship:江之子島文化芸術創造センターenoco / chart project